最低限これ必要的な回なので予算も最小限という解釈で、先に結論を書きますと総額は最低でも約1万円です。
ほんとこれ最低限なので1万円未満にケチるとマウンターのネジをなめて一瞬でレンズが修理不能や最悪ゴミになったり、永遠にレンズ間のチリが取れず泣きながらバラして組むを繰り返すことになるでしょう。ええ私が過去そうなったので言ってるのです。
「うっせーよ素人が草」と思ったなら余談かつハッタリですが、先程2024年10月から2025年2月までの5ヶ月間にばらしたレンズの本数を数えたら105本になっていました。なのでそこらへんの人よりは素人じゃないはずです。「月20本分解は週休2日っぽくて草」と思ったなら1日1本と思ってる時点で違います。
分解用工具の紹介はいろんな人がやってるので、ここでは私なりの使い方やコツとか注意点も無水エタノールに添えて。
必要な工具は5種類で約6千円
前半5種類は工具の紹介です。
画像はいつもスマホのカメラですが、せっかくなので今バラして戻したばかりのNIKKOR 24/2.8をD5000に付けて撮影。ISO 400、1/125秒、WB自動、絞り開放、撮って出しJPG、露出アンダーだと高級品に見えますね。工場夜景以外まじめに撮ったことなくナウくてエモいでしたが、撮ってアップロードするだけなのに時間クソかかって激しく後悔してます。
中華ドライバーセット 1,200円

Amazonにこれと似た精密ドライバーのセットが似た価格でいくつかあります。レビューが多くて星が多いやつでいいんじゃないでしょうか。画像入りレビューが多すぎるのはCBS(キャッシュバックサクラ)の可能性があり、Vine 先取りプログラムが多すぎるものはステってないマ、ようするにダイレクトマーケティングなのでスルーです。
安物すぎて不安でしたが意外と刃先が固く、もしかするとVESSELのファミリードライバーなみに頑丈です。何度か使いましたが刃先ぜんぜん無事ですし、とりあえず+00と-1.5の2本があればNIKKORレンズのネジはだいたい回ります。
レンズ何十本もバラさないならこれで十分でしょうけど、何十本めか忘れましたがいつからか私の場合は高級なドライバーを買い足し、このセットはショックドライバー代わりになっています。*ネジ山潰れたり固着して回らない時に後ろからハンマーで叩けるドライバーのことです。
カニ目レンチ 1,200円

悪いことは言わないのでジャパンホビーツールのV字型の高い方じゃなくて千円ちょいで売ってる中華なこっちにしましょう。ジャパンホビーの方は短すぎて前玉くらいしか回せませんし、V間の角度が開かなすぎるので直径70mmを超えた辺りから使い物になりません。もちろん持ってて言ってます。
ただしこっちは見ての通りただの棒4本なので使い方次第ではレンズの枠がキズだらけになったり、いくら回そうとしても全然外れなかったりはV字よりこっちの方が力が入りにくいからです。回すコツはドライバーと同じで、押す力9:回す力1です。押す力を入れるコツはしっかり掴んでガッツリ握りましょう。
使い慣れない内は時間にめちゃくそ余裕を持って作業し、あせらない、いらつかない、押す力を忘れない、で。面倒でもレンズ側の直径と足の幅を合わせてネジをしっかり締めて固定し、最初の力を入れる一瞬に全神経を集中しましょう。最初だけ回れば後はNetflix見ながら手で回せます。
ちなみに上の写真は私の普段遣いの状態なので初心者向けではなく、慣れるとこんなデタラメなネジの留め方でも全然いけます。左の足のネジは全部締めて固定、逆に右の足は自由にスライド、本来保護用の白いゴムは右足脱落防止のストッパーになっています。これだとほぼ握れないのでおすすめはしません。私は回す時に握らず押してるのですが慣れが必要です。
ゴムレンズオープナー 1,600円

カニ目の穴のないレンズ枠やレンズのガラスに直接密着させて回す場合はこのゴムオープナーが必須です。こちらはジャパンホビーツールがおすすめで、灰色の方は値段高い割にあまり良い噂を聞きません。灰色のやつ欲しいならAmazon高いのでAliexpressで探すのおすすめ。
このジャパンホビーツール黒のよいところは考えて作られているのか、レンズの枠や直径にピタっとハマったりするところで、まれに合わないこともありますがほぼピタっと来ます。これだけで困ったことありません。逆にこれで回らないなら何かやり方間違ってると思うほどです。
回すコツはカニ目レンチと同じで押す力9:回す力1、最初の一瞬に全神経集中し雷の呼吸壱ノ型、おっさんなら山吹色のオーバードライブでも結構です。カニ目レンチと違いミスってもレンズ側にキズが付いたりしないのがよいところ。アセトンリムーバーとセットで使うことが多いです。
レンズサッカー1,600円

ケチって700円くらいの吸盤を買ってしまいましたが、ここは肝心カナメな工具になるため1,600円くらいで売ってる茶色のサイズ別にそろってる方を激しくおすすめします。このちっこいのでも思ったより吸着力高いので愛用してますが、レンズ引き上げ中に声出して笑うほど厚い重いレンズもよくあり、引き上げ途中で落っことして違う声が出たりもします。
最初はレンズサッカー無しで分解していて、どうなるかといえばレンズが中にはまっていたら鏡筒を逆さにして振って落とすことになるのですが、落ちて来るレンズやフレームは1個とは限らず多いときは5個くらいドサっと出て来て青ざめ、裏表がわからなくなると本番開始。「レンズ構成図」で検索してレンズの凹凸の図が出なかった時の頭ん中まっしろ感がクセになって来たら本物です。
また、カニ目レンチとは逆の理屈で、カニ目は筒の外周2ヶ所を反時計回りに力を入れることでフレームのリングが回りますが、ぴったりハマったレンズを抜き出すにはレンズの中心1点を吸着して垂直に真上へゆっくり引き出すことになり重要な工具です。

こういうレンズがピッタリすっぽりハマってたら振っても出て来ないので落ちても来ません。あと、吸盤が大きすぎてもこういう小さいレンズからはみ出して吸着しなくなるので小が大を兼ねます、が当然小さい方が吸着力は弱いです。そう考えたら私が持ってる小さいやつ強くて優秀なのかも……。
注射器2~3本 200~300円

1本100円、ダイソーの化粧品コーナーで売ってました。なんで? 先端はもちろん針ではなく細い筒になっていて、注射器の後部を押さなければ中身は出て来ないくらいにはしっかり作られています。最初は加減が難しくてドバっと出たりあるかもしれません。
本当は他の分解ジャンキーのみんなのように(この後で出る)針の付いた容器が欲しかったのですがダイソーでこれしか見つからなかったので仕方なく、ですが今はこっちの方が使い慣れてしまい、特に針部分が長いので望遠の奥にアセトン流し込む時はこれなしではダメですね。
マスキングテープを巻いているのは空の状態の時はペン立てに差して見てわかるように、中身で一応使い分けているためです。テープ貼ってる方はアセトンリムーバー、貼ってない方は無水エタノール用です。
必要な消耗品も5種類で約4千円
つづきまして消耗品5種類です。
無水エタノール500ml 1,500円

容器は無地のガラス瓶に移し替えてしまったので無意味なため、同じく無地で無意味なこの容器で。白が無水エタノール、青はアセトンリムーバーとしています。これがダイソーにもキャンドゥにもなくてAmazon高いしで探しまくってAliexpressで買いましたが慣れたらダイソー注射器でいいと思います。
エタノールは種類があるようでレンズ分解時は99.5%の無水エタノールです。500mlが割安かつ多すぎないので良いと思いますが、レンズ100本バラしても100mlも減ってない気がするほど使うのは毎回少量です。使わない回もあります。
レンズクリーニングの説明でよく無水エタノール使え的な内容を見かけますが、分解時の掃除に無水エタノールOKかはレンズによるので基本的には使わない方がいいっていう矛盾があります。何がまずいかってコーティングが剥げるんです、特にオールド、更に特に1980年より前は禁忌レベル。劣化してるのか元からエタノールに弱いのかは知りませんが。
また、分解記事でエタノール漬けにしてコーティング剥がす説明も見ましたが、レンズによっては真っ白ににごってただのゴミになる可能性もあり使い所が難しいと思っています。私の場合はパイプスルーやカビキラーなみに無水エタノール使わない。むしろ外装の掃除の方でよく使います。カビ汚れや白化したゴム、樹脂のべたべた取りなど。
アセトンリムーバー 700円

ニコンのレンズは場所により赤茶色の粘質なネジ止め剤が塗られて接着剤状に固まっていて、それを溶かすのがアセトンリムーバーです。爪に塗るマニキュアやペディキュアを剥がす除光液と言えばおっさんでもわかるでしょうか。ただし除光液でもアセトンフリーとか言ってアセトン入ってないやつあるらしくそれじゃだめです。
これも無水エタノールと同様に取り扱い注意で、ざぶっとレンズの外枠に流し込むと全体が真っ白になって無水エタノールでクリーニングするはめになることも。おすすめは注射器で少しずつ流し込む、または綿棒に少量つけてピンポイントで剤を溶かします。海外の職人が1滴+数秒で溶かしてる動画あってビビったほど上手い人がやると一瞬でした。
失敗例は、どうしても外れない前玉があって(AF NIKKOR 75-300mm F4.5-5.6)、前2枚の枠を外したくて3日アセトン漬けにしたものの外れず、コーティング剥がれて詰んだのが初の分解失敗でした。神経質になるほど強い剥離力ではありませんが漬けすぎ注意。
レンズクリーナー 1,000円

レンズクリーナーはだまってこれ使えってほどいいです。FUJIFILMのやつをまだ使ったことないけど、このHCLがあまりにも良くてたどりついてません。逆にダメなのはHAKUBAの激安のペーパーセットのクリーニング液で、乾くと拭いても取れなくなるの欠陥品じゃないの?あれって。*型番調べてきました。→ハクバ KMC-71 レンズクリーナーキット30
ただ、分解で拭いているのはレンズの内側や中にあるガラスなのでハクバのクリーニング液ではダメなのかも知れない、でもHCLは大丈夫。成分見てもよくわかりませんが、HCLは無水エタノールのようにきれいに乾燥するし乾くの早いです。乾いて跡が残るならそれはまだ汚れてます。
この大きさよりもデカいボトルもあるので迷いましたが、100本ばらしても半分くらいしか減ってないし、一回寝ぼけてワーっとこぼしたので分解しない人なら1年分どころじゃないと思います。普通に使ってたらレンズこれで拭くほど汚れないでしょ?
クリーニングペーパー 200円

はいこれも、クリーニングペーパーならだまってフジフィルムの買え。安くはないけど高くもない、ただしレンズの表面だけじゃなくて裏側まで拭いてる人間に言わせるとひかえめに言って神紙、仕上げはこれなしではダメです。
くっそ汚いカビレンズをクリーニングする際の私の手順。
- 80%エタノール漬けウェットティッシュで拭く
- ニコンのシルボン紙で乾拭きしてみる
- シルボン紙にHCLクリーニング液をつけて拭く
- (どうしても取れない汚れはエタノール+綿棒)
- シルボン紙で乾拭き
- 仕上げはこのフジカラーのクリーニングペーパー
あぶらとり紙のような表面でレンズをつやつやに拭き、静電気も起きないため舞うホコリもレンズにくっつかずキレイなまま復元作業が進むことが多いです。他のペーパーと大きな違いはないとしても、ないからこそ価格差もたいしたことないのでこれがいい。
エアブロワー 600円

ハクバ シリコンブロアーソフトショートノズルKMC-86GRです。ダイソーの110円ブロワー使ってるならだまされたと思ってこの600円もするやつ使ってみてください。私がダイソー使ってたので本物はこうなのかとおどろきました。
違いは風力(風速?)で、大きい割にスカスカな安物とは違い、少しの押しで小さなノズルから強力に風を出してくれる、しかもポンプの部分が柔らかいので押しやすい、さらに何度押しても疲れにくい、いいことづくめなのが今のところこのブロワーです。
カメラ本体のミラーやセンサーやレンズ表面を吹く時はせいぜい数回、見る、吹く、見る、OKでしょうけど、分解時は何回もしつこいくらい吹いてチリホコリがゼロになってるか?なっていなければ拭き取ってまた吹きまくるを繰り返すので疲れます。
蛍光色を選んだのは「ブロワーどこだっけ?」と見渡してすぐ目につくように。これは屋外でも分解しなくても同じだと思うので、こだわりがなければ黒や灰色ではなくハデな色も選べるのは利点と思います。
分解できるような物ならまともな中古買った方が安い
気になる書き方をしましたが、「分解できるような物」とはオールドレンズやせめてAFが付くCPUレンズ(Ai-S)までの話で、AF-Sのようにレンズ内にモーターが内蔵されているニコンの一眼レフ最後期にあたる製品はレンズというよりただの精密機器です。メガネ分解するのかコピー機バラすのかくらい違う。

AF-S 18-55mmです。「あっ、間違えました」ってすぐ閉じたわバカ。
右に見えてる茶色のぺらぺら(フレキシブルケーブル)がやばいやつです。あと、見えてるプラスネジはずしてプラスチック持ち上げたらスペーサー(間隔取る用の輪っか)がパラパラ何枚か落ちて来ておしっこ全部漏れた。*全部はうそです。
しかも私の場合は、ニコンのオールドばらしまくって飽きてきて調子に乗って「もしかしてCanonもいけるのでは?」と勘違いして、EFマウントばらそうとしたらAF-Sに似た精密機器+接着剤使いまくっててカッターでレンズのふち切って貼り直すと知って泣きながら元に戻したこともあります。
じゃあオールドならいいかと言えば、個人的に最も分解が簡単だと思っている非Aiの135/2.8なら割に合うかと言えばこれまたそうでもなく、カビ玉が700円でもキレイ玉が1,700円くらいで売られてるのでわざわざカビ玉買う意味ないんですよね。送料入れて2千円と3千円としたら1.5倍ですが結局千円の差しかないですし。
では比較的お高めな24mm/F2.8のAiが8千円として、カビ入りが6千円としたらどちらを買いますか?6千円の方にしてカビ取れなかったら6千円で売って送料と中抜き代を損するか、思い切り失敗して丸ごとゴミになって6千円損するか、私でもカビの状態によっては6千円の方はスルーします。
さらに6千円で買って仮に8千円で売れるとしても、800円はメルカリやヤフオク、750円はヤマト運輸が持っていくので手元500円も残りませんし「カビ跡があった」と悪い評価付いたらただのバカです。
だからこれは遊びなんです。
- カビ取れないかも?
- 分解できないかも?
- 元に戻せないかも?
ではなく、
- おもしろそう
- できたらすごい
- 死ぬわけじゃない
で始まるのがレンズ分解沼。趣味であってビジネスではありませんから失敗したり散財しても楽しむこと。ゴルフが初期費用も練習代もコース出ても何でも高いのと同じ。
というわけで正しい分解沼への道は、お気に入りのレンズをバラさざるをえなくなって工具を買い始めるところから。すると何ということでしょう、次から次へと工具が欲しくなり、工具がそろうとなぜか汚レンズがもっと欲しくなり、20時になったらメルカリとヤフオクに張り付くようになれば立派な上級者っていうか中毒者です。
そんな立派な分解ジャンキーの1人、私のこだわり工具20選+いろいろで次回お会いしましょう。絶対来いよ。
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