安い中古レンズどう選ぶ?注意すべきワースト5

こんにちは、レンズジャンキーイノウエです。違います。

3ヶ月前までは普通の人でしたが年が明けた3ヶ月後の今、レンズ分解本数は70を超えました。もう数えるのやめようかな……。この前ヤフオクとメルカリの散財総額出してしまって超萎えました。

しかし失うものはお金以外は思ったほど多くはなく、得たものはレンズの修理スキル、そして「眼」です。レンズを見ると上に寿命もとい焦点距離やF値、製造年が見えるようになりました。ウソです。見えませんがニコンならデザインでほぼわかるようになりました。あれ?タイトルと関係ない。

さて、そんな分解中毒な私が体感している手を出してもよい中古レンズ、罠の可能性が高いレンズっていうかゴミの見分け方や危険度をご案内申し上げます。

レンズ外側の汚れ(危険度 E)

パッと見で汚い外装のレンズは当たりの可能性が高く、出品者がリサイクル業者っぽいなら今すぐウォッチリストに入れるかとっとと購入ボタンを押して取引を開始するべきです。

ポイントは2つで、リサイクル業者はカメラレンズも単なる商品の一つなので特別扱いしない、さらに下手にレンズを拭くとキズが付いて価値が下がることを恐れていると見受けられます。また、見た目が汚い=価値が低い印象があり競争率が低いため高値にならない傾向もありヤフオクでは有利です。

例その1をヤフオクより。多分55mmの3.5か2.8、マウンターのフチが切られてないので非AIですからデジカメ上位機種には物理的に取付不可なので競合少なめ、非AIなら最古ながらプラスネジなので初期型ではない感じですがどうでもいいか。

典型的な未清掃、もしかするとレンズフィルターの有無さえ興味ない業者の出品かな?と予想できます。左のコーティング劣化か油汚れ?とカビまみれなのはフィルター部分、この状態で長年放置されていたなら中身は新品級の可能性あるコールドスリープみたいなレンズもありました。

右は外周の塗装ハゲが多め、マウンターはサビではなく泥やホコリのような汚れ、元のページで拡大写真を見ると後玉レンズ表面や周囲の黒い部分もまったく拭かれておらず、クリーナーで拭くだけで化ける可能性大アリです。目盛りの輪っか部分も水拭きできれいになりそう。

リスクはフィルターが固着して外れない場合、ゴムマット置いてグリッ!てして外すコツを知らなければレンズが使い物にならず、最悪ニッパーやペンチでフィルタを割って外す度胸の良さが必要になります。

もうひとつ極端な例も。ビフォー。

例としてはパンチがありすぎて困ると思いますが、こんなのも外側の汚れです。自分でもよく見抜いたなと思うしここまで来るともはやギャンブルですが、レンズの内側だと仮定すると見たことのない汚れだったので外の可能性が高いと考えつつ1,200円くらいで落札できました。競合が5人くらいいましたがさすがに汚すぎてビビったのでしょう。ヤフオクは送料別なのでプラス千円は確実ですし。

アフター。

表面をウェットティッシュで拭いただけです。仕上げにメガネ拭きもしましたが。

下のロゴより、AF-S 40mm/f2.8は中古相場12,000円は下りません。ニコンD60でAF動作、合焦OK、死神の目もとい分解ジャンキーになるとこういうところまで見当がつくという極端な例でした。

チリ・ほこり(危険度 D)

写真撮るほどのものではないと思い画像はないです。

ヤフオクやメルカリで「チリ・ほこり、有り」としか書かれていないなら逆に安全で、何が逆かはチリほこり以外、要するにカビやクモリなんてあるわけがないくらいの勢いで念のためチリほこり有りと注意書きしている人の割合が多いです。ただし「♪チリほこり無し♪」みたいな酔っ払ってそうな出品は除きます。

カビもクモリもないレンズ、そういうのは光学に問題ない状態と言えますから画像を見て本当にそうならばポチるべき中古です。ただし滅多にありませんし、そのような良心的な見せ方は人によるため、そういう新品みたいな中古品を出して「チリ・ほこり」だけだったならそのアカウントの出品は掘り出し物率が高いことがあり洗いざらい丸ごと要チェックです。

ヤバいのは小チリとか小ホコリとか書いている日本語のおかしい人。日本人なのでしょうけど小さなホコリがチリであって、チリは小さくなってもチリです。どうにかしてレンズを悪くない状態だと言い張りたい苦しい日本語として出てしまい印象操作をしたいのかと疑えてしまいます。小カビ、小クモリも笑わす。

また、みなさんレンズの分解をとても難しい専門技術だと思われていそうですが意外と簡単なのでチリほこり除去したいという動機からの分解ジャンキー入門はアリと思っています。(分解の何が怖いかは道具沼にハマり気付けば工具代が数万円行くのは普通なところで)とりあえずカニ目レンチ、レンズオープナー、レンズサッカー、……まあ1万円あれば単焦点のオールドくらいはバラせます。戻せるかはあなた次第です。

ちなみに今まで分解して来て現行でも一番難しいと思う作業はネジなめ回避、次にチリの除去です。いまだに完璧な作業はできていません。そのくらいレンズ内に自然に入ってしまうのがチリです。

キズ・コーティング劣化(危険度 B)

キズの例でニコンの500mm/f8、中央の丸(反射鏡)の右3時方向に横一文字、他にもレンズ全体の右下や左上に小キズがあります。

これほどキズがあっても写りには影響しません。なんでわかるんだよって聞かれそうですが完全無傷の500mmも持っているからです。実際には少し暗いとか影響あるのかも知れませんが、少なくとも私にはわからないです。

もう1例をヤフオクより。

パッと見はすごくきれいですが……。

大変良心的な出品者です。意図して前玉が小キズまみれだと見えるよう後ろから強い光を照射されています。こうするとだいたいの中古レンズはキズだらけに見えるはずなので普通こんなことしません。おそらく絶対に低評価や返品を阻止したいのだろうと推測します。またはただのとてもいい人。

こんなにキズだらけに見えても(逆光でなければ)写りには影響ないはずで、影響あったら私が持ってるレンズほとんどNGになります。どのくらい大丈夫と思っているかは今このレンズに入札しています。

コーティングの劣化については角度によってレンズが青や緑、茶色のサングラスのように見えるアレが剥がれていたりでマダラになってる感じで、それも写りは見た目わかりません。ただしコーティングなし、弱め、みたいな写りにはなると思います。どういうことかはゴーストやフレアが出やすかったり青が強めに出るとか?

また、キズもある程度大きくなったりヒビだとか最悪割れているなら普通にダメです。全体が暗くなったりボケるので使い物になりません。注意することは出品画像がボケていたり、故意に前玉や後玉を避けて撮っているものは騙す気あり悪意ありです。

カビ(危険度 A)

さて、ここからは分解できない(しない)人が手を出さない方がよい領域です。このホコリまみれのように見えるカビなら高確率で分解して内側から拭けば見た目きれいになります。

やばいのは下半分に分布している雪の結晶のような丸いやつのデカいバージョンで、これがNewとかAutoとか付く50年ものクラスのNIKKORレンズになるとカビの根がレンズに食い込んで除去不可能になります。特に長い望遠レンズに多く、手持ちの300mmは5本全滅でした。

もう一つやばいのは点カビというのでしょうか、こういうの。

レンズの裏側でプツプツに分布していて拭いてもまったく取れません。研磨すればいいのかも知れませんが、ニコンの1980年以降の多くのレンズは内部や内側になって来るとだいたいコーティングされていますのではげます。写りに影響なくても見た目が萎えますし、上位レンズを手に入れて売り払う際に価値が大きく落ちるリスクも。

カビは多すぎたり、少なくても中心にあると写真が全体的に白くボケます。コントラストが弱いとかソフトフォーカスと言えば聞こえはいいですが、私に言わせるとただの失敗写真量産レンズです。

余談としましては、カビを予防するには防湿で対策以外に冬場に寒い屋外から暖かい室内へ入ったときがヤバいと感じています。一瞬でレンズが全部くもって完全に取れるまで10分以上、劣化やタバコや経年の汚れでレンズ表面が少しでも汚れていれば水滴はそこにとどまり汚れがカビの餌になれば後のフェスティバルとなるでしょう。

くもり(危険度 AAA)

クモリという名前から「拭けばいいんじゃね?」「クモリが取れるまで待てば?」みたいに軽く考えそうですが、結露ではないクモリの多くは拭いても取れません。分解できる腕があってもクモリは避けます、が、角度によっては写らないのでゲットだぜ……。

このクモリの場合はバルサム切れという、レンズ同士2枚を接合している接着剤が劣化してくもっているので高温で熱して剥がすところからなので無理ですし、剥がせても除去してバルサム買って改めて加熱してきれいに再接着はもっと無理です。

これでさえ大アウト。みなさんの大好きな35-70mm/2.8くもり玉。

35-70/2.8を買う人の多くは「このくらいなら大丈夫」と思っているのでしょうか、まともに写りませんよ。今メルカリで検索して出てきたこれら全部アウトです。分解できないなら(できても)燃やせないゴミに送料込の300円さえ出したくないでしょう。

今は相場が上がっていますが一時期ジャンクでなくとも4,200~4,800円でも4本が売れない時があり、それが今は(ジャンク以外)はけて一時的に7千円以上になっているだけです。まともに写らない事を知らない人が買い終わればまた4千円代まで下がるのでしょう。そして知らない人が買って再び7千円以上、その繰り返し悪循環に。

クモリの何がまずいかは取れない、そしてカビが全面に広がっているような状態なのでくもりガラスの向こうは風の街ではなく白ボケの世界です。分解できてもどうにもなりません。拭き取れるクモリなんてほとんどありません。まれにありますが、その場合こそ「なんでくもってたんだろう?」「どうして拭き取れたんだろう?」と不思議になるほど拭けるクモリはありません。洗剤やエタノールで一瞬消えたように見えても、組み直す頃にクモリ復活はあるあるです。

中を見せない中古レンズには手を出すな

「私がレンズを売る時はこう撮る」のサンプル、良い例とさせてください。

書かなくても見てわかりそうですがポイントは3つです。

  1. 中が見通せる(反射しまくってない)
  2. 絞り羽根にピントが合っている
  3. 背景が黒

反射しているのか反射させて中を見せたくないのかわからないレンズには手を出すべきではありませんし、どうしても狙ったブツがその出品しか無いならハズレ前提で届いてがっかりしない心構えをするくらいがいいと思います。2と3も重要で、ほとんどのレンズは絞り開放し向こう側真っ白で撮っていますが無意味です。カビ、クモリ、チリほこり、キズ、ヒビ、全部白ですから見えなくなります。

反対に絞り羽は黒なので背景にすると手前のレンズのカビやクモリ、キズ、チリほこりがよく見えます。羽自体も油染みが無いか、妙な汚れは無いか、最大値まで絞れていそうかもわかりますよね。

私がレンズ売り払う時はたいてい翌日までに、最大でも6日で完売するのは全部見せるので安心して買えるからです。なぜそんな撮り方をするかは「こう撮って欲しい」をそのままやっているだけです。安くはないですよ?メルカリなら相場最安くらい+750円+1.1倍で出すのでパッと見は少し高いくらいです。

もう一度、中を見せない中古レンズには手を出すな。出していいのは私のような分解沼にどっぷりの「ハズレを引いたところからが始まり」な頭おかしい人だけでいいと思います。

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